米国・ニューヨーク発、子育てと仕事を両立させるコワーキングスペース

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[Publisher] Parents

この記事はParentsのAnna HalkidisとR.D.が執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。

Courtesy of Maison

写真提供:Maison

2年前に2人目の子どもが生まれたとき、アシュレー・ウーさんは5年目の在宅勤務に差し掛かっていました。そのとき、彼女は新生児の世話、3歳児の子育て、在宅勤務をこなすのは、容易ではないと悟りました。子育て支援制度と在宅勤務を活用し、フレキシブルな働き方をしながら、米国・ニューヨークのアッパーイーストサイド近郊で、育児をしながらも仕事をこなせる場所を見つけようと決めました。

しかし、それは、彼女が想像していたよりも大変でした。席が空いているかどうかわからないコーヒーショップ以外、ほとんど選択肢がなかったのです。彼女はこの問題に直面しているワーキングマザーは自分だけではないはずだと感じました。

「私と同じような立場の女性を多く知っていました。幼い子どもを抱えながら、フルタイム、あるいはパートタイムで在宅勤務をしたり、職場復帰や次のキャリアアップを考えたりしている女性は多いはずです。ただ、不自由なく働ける場所がないのです」と、2011年からファッションブログ「Exposed Zippers」で情報を発信しているウーさんは話します。

2019年2月、彼女は、男性も女性も利用できる家庭的であたたかい雰囲気のコワーキングスペース「Maison on the Upper East Side」を開設しました。共有のテーブル、ソファ、ハンモック、ヘルシーな軽食や飲み物を無料で提供するキッチンを備えています。「きれいで家庭的な雰囲気の場所を作りたかった」と、彼女は話します。「ここは、良い気分で過ごせる場所ですよ」とも。

Courtesy of Maison

写真提供:Maison

このスペースを仕事場として使用するメンバーが多いものの、ウーさんは「Maison」をコワーキングスペース専用にするつもりはありませんでした。仕事があるか否かに関係なく、誰でも利用できます。例えば、次のキャリアアップを考えている人、ただくつろぐ場所が必要な人、自分だけの時間が欲しい母親も大歓迎です。

「私たちの社会は、燃え尽き症候群が頻繁に起こる状態にまで悪化しています。特に、社会からのプレッシャーを受けて、母親たちに強いストレスがかかっているのです」と、ウーさんは言います。「Maisonは、仕事をしに来る人だけが対象ではありません。自分の幸せよりも他を優先してきたせいで、なおざりにしてきた部分を見つめ直したい。そんな人にも使ってほしいんです」コーヒーを飲みながら友人と近況を報告し合う、読書を楽しむ、専門家や映画クラブが主催する講演会などのプログラムに参加する。このスペースの用途は無限に考えられます。

母親・父親の支援を重視したコワーキングスペースは全国的に増えつつあり、「Maison」はその一環と言えるものです。在宅勤務者の数は増加傾向にあり、コワーキングスペースのニーズも増えています。「2017 State of Telecommuting in the U.S. Employee Workforce report(2017年 米国雇用における在宅勤務の状況報告書)」によると、米国の約3%の就労者は勤務時間の半分以上が在宅勤務となっています。2005年と比較すると115%増加しています。現在、米国内のコワーキングスペースは4,000カ所以上ですが、子どもを持つ親に対応するスペースとして従来のシェアオフィスの会員料金(通常、数百ドル)には含まれない過ごしやすい環境を用意して、コワーキングスペースに新しい付加価値をもたらしています。こうした新しいスペースでは、特別プログラムやファミリー向けの特典を用意し、女性の権利・地位向上を目指しています。

2017年5月、エイミー・ネルソンさんはシアトルのキャピトルヒル周辺に「Riveter」を設立しました。設立に至った理由は、ウーさんの場合と似ています。次女が生まれたとき、ネルソンさんは弁護士としてのキャリアを捨て、起業しました。「最終的にコワーキングスペースにたどり着きましたが、コワーキングスペースの多くが男性をメインターゲットとしている印象を受けました。私の求める必要なツールや人脈が得られませんでした」と、4人目を出産したばかりのネルソンは言います。「女性を中心に考えるだけでなく、多目的に対応できるスペースを作りたいと思いました」。

Courtesy of The Riveter

写真提供:Riveter

その後まもなく、カリフォルニア州ロサンゼルス、ミネソタ州ミネアポリスなど、数カ所で同じコンセプトのスペースを開設し、2019年後半には、コロラド州デンバー、オレゴン州ポートランドの2カ所が計画されています。作業スペースのほか、Riveterには瞑想(めいそう)用の部屋、屋外デッキ、広々とした部屋があり、教育、文化、健康プログラムが実施されています。どの施設も、母親が授乳もできるプライバシーが守られた快適なスペースとなっています。また会員は、6カ月以下の乳児(膝の上に座れる状態に限り)を連れてくることができるのです。

2016年、ニューヨークに開設された「The Wing」などのコワーキングスペースは、さらに一歩先に進んでおり、保育所を併設しているところもあります。ある調査で、在宅勤務の母親はオフィスに出勤する母親と比較して、3時間、育児に従事する時間が長いということが明らかになっています。育児支援を短時間でも受けられれば、働く母親はより多くの仕事ができるはずです。ベビーシッターサービスに加えて、「Little Wing」の保育スペースでは、幼児教育プログラム、親子教室、ワークショップを開催し、新生児の両親のためのサークル活動も提供しています。「The Wing」は、マサチューセッツ州ボストンの新規オープン施設を含め、全米8カ所に施設(店舗)を展開しています。すべての施設に、少なくとも一つは「マザーズルーム」を用意しており、おしりふき、おむつ替えの台、ベビーローションなど乳児の面倒を見るのに必要なグッズを完備しています。

同様に、カリフォルニア州ロサンゼルスにある「The Jane Club」は、「Nest」と言う保育施設を備えています。「アットホームで想像力豊かな遊びのスペース」がモットーで、3歳までの幼児が対象です。2018年、プロデューサーのジェス・ザイノ、人気ドラマ「グレイス&フランキー」のスター、ジューン・ダイアン・ラファエルが設立した「The Jane Club」では、ヘアセット、マニキュア、ペディキュア、ワークアウトの教室も用意しており、共有エリアで働く母親が気分転換できるサービスを整備しています。

Courtesy of The Wonder

写真提供:Wonder

このほか、2019年5月、ニューヨークにオープンした「The Wonder」のように、家族のレクリエーションや交流のみにスポットを当てた施設もあります。「授乳からアート教室、家族で参加できるボードゲームナイトまで、あらゆるニーズに応えられる施設をデザインしました」と、最高経営責任者(CEO)のサラ・ロビンソンさんは話します。テーマを決めたプレイスペース(このときのテーマは月面着陸50周年記念)、図書館、保育所、ヘビのような形をした巨大なソファがあるファミリーラウンジなどが人気です。家族の絆を深めてほしいので、ラウンジやプレイスペースで携帯電話の使用を禁止しています。

ノリア・モラレスさんと同施設を設立したロビンソンさんは、息子のヘンリーを連れていけるような親子が楽しめる公共スペースが少ないと感じ、アイデアを開発しました。子どものための場所、大人のための場所、そのいずれかしか選べないと気付いたと言います。ロビンソンさんとモラレスさんは、「The Wonder」を作って、家族で過ごす時間を気軽に楽しめるものにしたいと考えたのです。

「ライトセーバー大会を開いたときもあります。あるメンバーから、出場する子どもに衣装を着せるため、ご主人が早退してくれたとメールが来ました。家族で一緒に過ごした時間の中で一番楽しかったと話してくれました」と、モラレスさんは言います。「このような経験は、今の時代の親たちのニーズを十分に満たしていると言えるのではないでしょうか」。

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