チーズの廃棄物で4,000世帯にガスが供給できる?!

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[Publisher] The Guardian

この記事はThe GuardianのJillian Ambroseが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたしします。

しっとりした食感が特徴のウェンズリーデールチーズは、テレビアニメ『ウォレスとグルミット』の二人の大好物。そのウェンズリーデールチーズの廃棄物が近い将来、再生可能な「バイオガス」の原料として利用され、英国・ヨークシャー地方の何千世帯もの家々に供給されることになります。

ウェンズリーデールチーズを製造するウェンズリーデール クリーマリー社は、自社のチーズ工場から出る廃棄物であるホエイ(乳清:チーズを作る際に固形物と分離された副産物として大量に作られる成分)を地元のバイオガスプラントに提供する契約を結びました。このバイオガスプラントでは4,000世帯の家々に十分なガスが供給できるほどの再生可能バイオガスを生産することができます。ノースヨークシャーのリーミング社のバイオガスプラントでは現在、アイスクリームの廃棄物が使われています。嫌気性消化法と呼ばれる手法で、乳製品から得られる廃棄物を再生可能バイオガスに変えています。

嫌気性消化法は、食品廃棄物が分解される際に自然に発生するガスを取り出すための手法で、19世紀から使われていました。最近の嫌気性消化法のプラントでは、地域のガス配管網にじかにガスを注入でき、バイオ肥料も生産できます。このプロジェクトは、発電時のCO2排出量を抑え、廃棄物を削減しながら持続可能な農業の発展を支えるという英国のにおける三つの持続可能性に対する課題への挑戦に貢献するものです。

今回の契約は、英国政府が実質CO2排出量ゼロを目指す2050年に向けた政策として、ガスシステムを全面的に見直す準備が進められているなかでの発表となりました。政府の公式諮問機関である気候変動委員会は、食品廃棄物を埋め立てると腐って炭素を多く含むメタンが発生するので埋め立てるべきではないと警告しています。

どうしてもなくならない食品廃棄物は嫌気性消化法を使って、天然ガスをつくりだすべきです。天然ガスは化石燃料に取って代わってガスの供給や発電に利用できます。実質CO2排出量ゼロの目標を達成するには、製造業や農業で大幅なCO2削減に取り組むことも必要です。

ウェンズリーデール クリーマリー社のマネージングディレクターであるデイビッド・ハートレー氏は、このプロジェクトが持続可能な環境と経済効果を地域にもたらすだろうと述べています。さらに「地域で摂(と)れるミルクを高級なチーズに変換し、その自然の副産物から環境的にも経済的にも利益を得るということは、誇りある私たちのビジネスプランに必要不可欠です」と話します。

ヨークシャーデイルズの中心地、ホウズにある同社の酪農場内では、年間4000トンのチーズが生産されていますが、2013年に欧州連合(EU)の原産地名称保護制度で保護認定を受けました。

リーミング社のバイオガスプラントは、サステナビリティ投資企業イオナ キャピタル(再生可能エネルギーインフラプロジェクトに焦点を当てて設立された英国にあるファンド管理会社)がヨークシャーに所有する九つの工場のうちの一つです。イオナ キャピタルの試算によると、このプロジェクトを通して削減できるCO2排出量は年間3万7300トンになります。

イオナ キャピタルの創設者マイク・ダン氏は、「ウェンズリーデールから供給されたチーズの副産物を使って持続可能なバイオガスを生産したあとは、残ったカスを近隣の農場に提供し、土壌の改善に使用することができます。これは、循環型経済の真の効果であり、賢明な投資によってCO2排出量を削減できることも示されています」と話します。

キャドバリーズ フレークやノブリーボブリーなどのアイスブランドのメーカーであるR&Rアイスクリームの工場も、タンク洗浄後に余ったアイスクリームを近隣の同バイオガスプラントに供給しています。ダン氏の話によると、イオナ キャピタルはさらに二つの嫌気性消化法プロジェクトを進めているところだということです。

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