都市計画と自動運転車のコラボレーションの促進を目指すオープンソースコミュニティ

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[Publisher] VentureBeat

この記事はVentureBeatのKyle Wiggersが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたしします。

エクリプス財団はエクリプス開発コミュニティの管理者として活動する非営利団体ですが、本日(2019年5月13日)、自動運転車と新たな交通手段のモビリティプロジェクトを立ち上げました。「オープンモビリティ ワーキンググループ」と呼ばれるこのプロジェクトは、自動運転車、交通シミュレーション、モデリングの他、今後の交通手段に関する都市計画の問題を緩和するため、「オープン」で「共有化」されたコラボレーションに焦点をおいています。

「現代のソフトウエア主導型の市場で成功するには、自動車メーカーも都市計画部門も、デジタルの規模とスピード感で革新する必要があると認識しています」と、同財団のエクゼクティブディレクター、マイク・ミリンコヴィッチ氏は話します。「オープンモビリティは、エクリプス財団のコネクテッドカー*1のエコシステムのなかでサポートしているコラボレーション事業の最新の事例です。私たちのコミュニティでは、ワーキンググループと協力しながら、モビリティモデリング、シミュレーション、テスト技術の進化と幅広い普及を進めています。」

オープンモビリティは、ドイツ航空宇宙センターで考案・開発された、自由に利用できる交通解析ツールセットであるエクリプス SUMO(Simulation of Urban Mobility)を基盤として構築されており、歩行者、自動車、通信システム間の相互作用をシミュレーションするために設計されたツールの一部で、土木工学の共通プラットフォームの確立を目指しています。このツールは、自動車、バス、電車、路面電車、自転車、バイク、歩行者、船、さらには貨物コンテナまで、都市の道路、鉄道、水路において「ほとんどすべて」の移動手段の動きを予測することができます。

エクリプス財団では、このソフトウエアは、運転支援システムのテスト、交通量の予測と最適化、新たなMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)*2ビジネスの評価において欠かせないものになると確信しています。そして、知的財産の共有促進、品質保証と検証の改善、製品開発の加速により、エコシステム参加者が業界を越えて協力できるような環境を、今後数年間のうちに、整えていきたいと考えています。

また同財団では、オープンモビリティワーキンググループのほか、運転支援シミュレーションと自動運転システムのモジュールを提供する組織、エクリプス オープンPASSや測定データの標準化管理フレームワークを提供するエクリプスオープンMDMのサポートも行っています。

「交通シミュレーションは、ボッシュ(ドイツを本拠とする自動車部品と電動工具メーカー)でもデジタル開発プロセスを加速させるために使用されています」と、ボッシュのマネジャー、クリスチャン・ウィーガンド氏は語っています。「実際の交通状況における車両の動きをモデル化することで、接続性や自動運転などの新技術を正確に評価することができるのです。さらに、交通シミュレーションを使うことで、パワートレイン(エンジンやトランスミッションなどの動力伝達装置)開発に有用なデータを得ることができます。」

オープンモビリティワーキンググループによる発表は、リナックス財団のELISA(セーフティクリティカルシステムにおけるリナックス(Linux)の使用有効化)に続くものです。ELISAは、オープンソースのプロジェクトで、企業のリナックスベースのシステム構築・認定を支援するプログラムで構成されています。このシステムに障害があれば、人命の損失、重大な物的損害、または環境被害をもたらす危険性があります。自動運転車メーカーは、システムの訓練、分析、問題の区分を行うため、ツールの一部のオープンソース化を進めています。

今年の2月、ウーバーでは自動車用データのWEBベースのプラットフォーム、AVS(自動可視システム)を発表し、GMのクルーズ・オートメーションでは最近、Worldviewと呼ばれる2Dや3Dシーンのグラフィックライブラリを発表しました。また3月には、エヌビディア(アメリカにある半導体メーカー)が自動運転車シミュレーター、Drive Constellation(仮想現実自動運転車両シミュレーター)を一般公開しています。

*1:コネクテッドカーとは、ICT端末としての機能を有する自動車のことであり、車両の状態や周囲の道路状況などのさまざまなデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。

*2:情報通信技術を活用して交通をクラウド化し、マイカー以外のすべての交通手段による移動(モビリティ)をサービスとして捉え、つなぐ新たな「移動」の考え方

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