デザイン思考:現代ビジネスが抱える問題への挑戦

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[Publisher] e27

この記事はe27のニール・バナジーが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。

風向きが変わるとき、ある者は壁を建て、ある者は風車を作る-中国のことわざより

事業の中で競争力を維持するために、イノベーションは重要ですが、ここでいう「イノベーション」は、すでにある提案をただ再編成しただけということがしばしみられ、こうした場合は大きな失敗に終わることが多々あります。

失敗から学べるという意見もありますが、事業を完全に潰してしまう可能性すらある失敗をしようとする組織は現状あまりないでしょう。では、解決策はないのでしょうか?

デザインの世界から、この困難な状況に関するいくつかの教訓が得られますが、それを学ぶためには、企業が既存の提案の中で「問題」とみなすものから離れ、外部環境をもっとよく理解する必要があります。いわゆる「問題」の根底にある本質を理解する手がかりを得るためには、顧客の生活とカスタマージャーニー(顧客が購入に至るプロセス)について考えなければならないのです。

私たちが問題とみなしているものは、顧客との接点における課題や機会の現象にすぎないこともままあります。顧客の新しいトレンドが消費に小さな変化を促しているのかもしれないし、あるいは製品それ自体がより広範なエコシステムの進化の一環で置き換えられているのかもしれません。

ウーバーがどのようにタクシー業界を崩壊させたか、モバイルアプリのm-Pesaがケニアの銀行口座を持たない人々の事実上の「銀行」、つまり送金手段になったか考えてみましょう。

「理論は、あなたをAからBへと導いてくれる。想像力は、あなたをどこにでも連れて行ってくれる。」-アルバート・アインシュタイン

まさにこの通りです。想像力は人をどこにでも連れていくことができ、想像力の中にはビジネスの根幹のイメージを作り直すことが含まれています。

2000年、ネットフリックスという小さな企業の創業者であるリード・ヘイスティングス氏が、ブロックバスター(大手米ビデオチェーン)のジョン・アンティオコ最高経営責任者(CEO)とそのチームに提携を提案するためにダラスに向かったときの話をご存知の方も多いと思います。

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このアイデアは、ネットフリックスがブロックバスターのブランドをインターネット上で運営する一方で、ブロックバスターは店舗でネットフリックスの宣伝をするというものでした。ヘイスティングス氏の提案はひどく拒絶され、彼はすぐに会議室を離れました。当時、ブロックバスターから、このアイデアはニッチすぎて大きな規模では成功できないと思われたのです。

20年経った今、ネットフリックスは世界120カ国で事業を行い、年間280億ドルを稼いでいますが、ブロックバスターは破産しています。

「同じことを繰り返しながら、違う結果を望むこと、それを狂気という」-アルバート・アインシュタイン

変化、というよりは変化の欠如について考えてみましょう。確かに、変化を起こすのは難しく、また人間は本来変化を恐れるものです。結局のところ、組織はそのような性質を持つ人間によって運営されているのです。

そのため多くの組織は現状維持にとらわれ、ずっとしてきたことをやり続けるのです。意思決定における経験則では、問題の特定部分に焦点を合わせる一方、他の部分を無視することで、人は物事について判断しやすくなります。

組織もまた、完全に理解していない問題の一部を選択的に考えないようにしますが、放置された問題が、現時点では重要でなくても、将来より大きな問題や機会に対処する時に、判断を鈍らせるということはよくあります。

ちなみに、こうしたバイアスは最終的に消費者の利用習慣や、慣習やマナーといった社会的習慣にも入り混み、人々のものの見方を形作っています。

それでは、この型を壊すにはどうすべきでしょうか?

「言うは易く、行うは難し」のことわざの通りです。長い経験の中で、現代的なビジネスの課題とデジタル化がもたらしている変化の波を認識している経営幹部が大勢いる会議室で、変化を起こそうという意欲に燃えている状況を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

残念なことに、こうした状況のかなりの数が、組織の官僚的な考えの中で失われています。幹部クラスが行う最大の努力は、自分の担当分野を守り、組織の中で自らが働いている部門の目に見える成功を守るためにできる限りのことをすることであり、高給取りの経営幹部の既得権益に、効果のないものに変えられてしまうことはよくある話になっています。

しばらくして…顧客のことを完全に忘れていませんでしたか?

そこで登場したのがデザイン思考です。有名な実践者であるIDEO(アメリカのデザインコンサルタント会社)のティム・ブラウン氏は次のように言います。

「デザイン思考は芸術でも、科学でも、宗教でもない。つまり、統合的な思考を行う能力である。」

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さて、批判的な人は「『形にとらわれない』思考や『水平な』思考と何が違うのか」と尋ねるかもしれません。突き詰めれば、ある意味でそうした意見も正しいかもしれません。TheEngage(シンガポールのコンサルタント会社)で見られるデザイン思考は、別の呼び方をすれば本当に単なる「思考」ですが、環境から制約を受けるという障害がありません。

デザイン思考を促進するには、顧客の期待を絶えず設定し直し、消費者動向を理解する必要がある。これには、ビジネス環境への影響を判断するための徹底的な調査と、それらを組織のサービスや製品に組み込む方法の検討が必要です。

企業は顧客の意思決定の過程において最も苦悩する瞬間を理解し、そうした苦悩を喜びに変える方法を模索する必要があり、プロセスに終わりはありません。

つまり、顧客に力を与え、満足していただけるサービスや商品を生み出す機会を提供する「顧客視点」を実践することが重要な意思決定となります。この視点により、企業は市場やカスタマージャーニーから洞察を得て、それを顧客が必要とすると同時にビジネスとして成立するサービスや製品に変えることができるのです。

ニール・バナジー氏について

ニール・バナジー氏は、デザインシンガポールカウンシルからデザイン思考の資格を取得しています。同氏はレベル1のエグゼクティブコーチとして、トレーニングも行っており、デザイン思考の方法論を使用して、小売業、銀行業やより幅広い起業家部門で組織に属するセッション参加者をトレーニングし、支援してきました。これらのセッションは、能力開発補助金(シンガポール政府)などのプログラム補助金や、新しいアプリやデジタルプラットフォームの構築のためのロードマップにも発展しました。
あなたは、教授やプロの講演者の大言に聞き飽きてビジネスのやり方について実際の変化を推し進めたいと考えている重要な役員または経営者ですか?
突き詰めてビジネスに現金をもたらすことができる新しい事業計画を促進するためのデザイン思考を用いる方法についてもっと詳しく知りたい場合は、ニール氏へこちらから連絡できます。また、#EngageTheEngageもご利用ください。

デザイン思考:現代ビジネスが抱える問題への挑戦の投稿はe27に最初に掲載されました。

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