【インタビュー】IoTによる医療の向上

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[publisher] Digital Journal

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モノのインターネット(Internet of Things; IoT)には、リモートでの監視からスマートセンサー、医療機器の統合まで、医療分野で数多くの用途があります。その技術は患者の安全と健康を維持することに役立ちます。

医療におけるIoTは、分析結果の収集や医師による医療ケアの提供方法の改善に役立ちます。このようなテクノロジーは、医療のプロセスへ患者の関わりを促すことにもなるのです。

IoTがどのように医療の解決策を提供できるかについてさらに理解するために、Telit社ノン・セルラーモジュールス部門のシニアプロジェクトマネージャー、エリック・ラゴース氏に話を伺いました。

デジタル・ジャーナル(以下D.J):なぜ職場でヘルスケアが重要なのでしょうか?そしてIoTはどのように役立つのでしょうか?

エリック・ラゴース(以下ラゴース):「ハードにではなく、スマートに働く(work smarter, not harder)」というフレーズを皆さんも聞いたことがあると思います。これは、1930年代にアーラン・H・モジェンセンの「作業の簡素化」という考え方が現れて以来存在しているシンプルな常識を表す言葉です。この表現は、現代インターネット社会の中でかつてないほど的を射たものになっています。プロセスを簡素化、合理化、迅速化するIoTの潜在的な力は、多くの分野に大きな影響を及ぼしていますが、おそらく最も重要なのは、医療に変革をもたらしているということです。世界の人口増加率は鈍化していますが、慢性疾患の長期的なケアを必要とする人は増え続けており、医療費も上昇し続けています。これは国の予算や個人の経済的なコストに影響を与えます。

D.J:医療のテクノロジーが行動に影響を与えることはあるでしょうか?

ラゴース:IoTの発展を通じて、科学者や医療従事者、病院、業界が、自ら患者の治療へのアプローチにおける行動に変化をもたらしており、そのような状況の中で、医療サービスを提供するためのさらに効果的な環境が生み出されています。

D.JIoTはどのようなイノベーションをもたらすことができるでしょうか?

ラゴース:IoTは、リモートで患者のモニタリングサービスを通じて新しいサービスを生み出しており、重要なデータをリアルタイムで収集して、医療ケアチームが患者の健康状態をよりよく把握できるようにしています。これには3つの大きな利点があります。

まず、患者が自宅で過ごすことができ、より急を要する患者が病院のベッドを使用することができます。次に、医師や看護師が患者にいつ先見的なケアが必要となるのかを正確に把握していることで、ケアのプロセスが実務を行う上ではるかに効率的になります。最後に、リモートモニタリングは、高齢者や自宅療養者、障害者がより自立して暮らせるように役立つ革新的な製品やサービスの新しい市場を生み出しています。

D.JIoTは自宅での医療に役立ちますか?

ラゴース:在宅ケアに関しては、IoTが大きなメリットをもたらすことができる機会が数多くあります。例えば、酸素吸入が必要な慢性閉塞性肺疾患(COPD)を持つ患者がいます。

COPDに関しては、酸素濃縮器と酸素タンクを用いた在宅ケアの2つの事例があります。どちらの場合も簡単なセンサーで使用状況を測定できます。酸素濃縮器の場合、パルスオキシメーター(酸素飽和度を記録するために使用されるもの)をインターネットに接続することによって、酸素の有効性を測定し患者の血中酸素濃度をモニタリングすることができます。

データは医療チームに送信され、患者や医療チームが移動することなく患者の状態を見守ることができます。

酸素タンクについては、酸素の残量をモニタリングすることができます。停電時に酸素濃縮器のバックアップとしても使用されるため、タンクの状態を正確に記録することは重要です。酸素タンクの交換が必要になったときには、サービスの提供者が適切なタイミングでアラートを受け取ることができます。

D.J:そのようなテクノロジーは、どのようにインターネットに繋がっているのですか?

ラゴース:酸素タンクのモニターとパルスオキシメーターはBLEゲートウェイに接続されるBluetooth Low Energy(IoTで使われる無線通信プロトコル)になり得ますし、酸素濃縮器はWi-Fi経由で直接接続することができます。設定に応じて、低電力Wi-Fiを使用し一般的な家庭用・企業用のルーターを介し酸素タンクをインターネットに直接接続することができます。

D.J:他にIoTが医療に役立てることはありますか?

ラゴース:もう1つ例を挙げると、IoTは2型糖尿病の症状の管理に役立てることができます。肥満のレベルが上がると深刻な問題となるため、患者の血糖値のモニタリングに医療チームの時間とリソースの多くが費やされています。インターネット接続にBluetooth(ゲートウェイ経由)や低電力Wi-Fiを使用することで、携帯血糖モニターは、患者が自らのテスト結果をすぐに健康管理サーバーに送信することを可能にします。

これは即時にフィードバックを返し、必要な場合には患者へのアドバイスや指導を行って継続的なサポートを提供します。送信された個人の健康データには、標準的なインターネットのアプリケーションレベルでのセキュリティ(AES256暗号化を使用したTLS1.2)がかけられ、適切な健康管理サーバーの実装と併せて患者のデータのセキュリティとプライバシーが確保されます。これは、在宅でのヘルスケアを行う上で重要なことです。

D.J:記録されたデータはどのくらい信頼できますか?

ラゴース:慢性疾患を管理するために認められたソリューションを使用すれば、患者の容体の安定性に関する完全なデジタル追跡記録があるため、医療保険の拠出にもプラスの影響を与える可能性があります。

IoTを介してデータを収集、送信するために使用される今の低消費電力センサーには、メンテナンスが最小限ですむようバッテリーの寿命の長さが重要です。バッテリーの寿命は送信すべきデータがある時のみセンサーを起動させるネットワーク技術によって拡張されています。IoT機器が高機能になればなるほど消費電力も多くなるため、電力消費が柔軟であることと、障害や誤作動などで止まることが許されないレベルへの接続性が、IoTネットワークを効果的に運用するために不可欠なものです。

低電力Wi-Fiのソリューションが利用できるようになり、現在ではいたるところにある既存のWi-Fiインフラを介してのモニタリングと管理サーバーへの安全な接続により、在宅、入院での治療や回復のためのケア、介護現場における医療モニタリングの応用が可能になります。このように直接インターネットに接続することは、スマートフォンや独立したIoTゲートウェイの近くで使用することが必要なBLEベースの接続に代わります。

D.J:セキュリティの問題についてはどうですか?

ラゴース:家庭用や企業用ルーターを介した安全なWi-Fi接続を使用することで、センサーからのデータ送信はシームレスなプロセスとなっています。家庭で使用する際には、システムは邪魔にならず、複雑でなく、信頼できるものでなければなりません。一方、IoTネットワークを病院に実装するのはさらに複雑です。病院は、企業用Wi-Fiとゲスト用ネットワーク、プライベートネットワークがあり、ワイヤレス環境が過密です。デュアルバンドWi-Fi(2.4および5GHz)接続は、データの途切れのない流れを確保するために必要なことが多くあります。データとは、例えばモニタリングセンターに送信される内部検査カメラからの画像や心電図の結果です。

しかし、IoTの拡張と高密度化によって、メリットだけでなくデメリットも生まれます。私たちは、膨大な量のデータを収集して提供できるネットワークに注目していますし、そのデータを分析する必要があります。これは「ビッグデータ」の問題で、データは有用な情報に変換された場合にのみ価値があるのです。

医療業界は変化しており、変化を推し進めているのはテクノロジーです。予算管理とデータのプライバシーに関する懸念は高まっていますが、データ分析により強化された安全で効率的なIoTネットワークは、医療分野に新たなレベルの効率性を提供するのに役立ち、私たちの助けとなるでしょう。

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