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ORIX STORIES | フジテック株式会社

豊かな都市機能の実現とその安全を守る
テレマティクスサービスの役割

人々の日常を支えているインフラの中でも、オフィスやマンション、ホテル、公共・商業施設、交通機関などに欠かせないのが、エレベーター、エスカレーター、動く歩道といった空間移動システムの存在だ。フジテック株式会社は、これら製品の研究・開発をはじめ、製造・販売・据付・保守・リニューアルに至るまでを一貫体制で行うリーディング・カンパニーとして、25の国と地域(日本、東アジア、南アジア、北南米、欧州・中東など)の各拠点で昇降機を通じて“安全・安心”を提供し続けている。

“安全・安心”のプロフェッショナルであるフジテックを、国内で社用車の運行管理の面からサポートしているのが、オリックス自動車が提供するテレマティクスサービス(e-テレマ・e-テレマPRO)だ。社用車に通信やGPS機能を備えた車載機を搭載し、ドライバーの危険挙動(速度超過、急加速、急減速)を感知すると管理者にメールが送信される。この仕組みを活用することで、管理者は各車の運転状況をリアルタイムに把握でき、企業の課題・目標であるコンプライアンス強化、環境問題対応、安全対策、業務効率化などを推進することができるのだ。

現在、数多くの企業がこのサービスを導入する中、事故はもちろん危険挙動の件数が圧倒的に少ない企業こそがフジテックである。

フジテックの製品の高い安全性や信頼性を生み出している要因のひとつが、強固なサポート体制だ。フジテックでは、独自のネットワーク情報システム「MIS(Maintenance Information System)」での一元管理や、東京と大阪に設置された「セーフネットセンター」による24時間365日の遠隔監視など、独自のノウハウに基づくシステムで事故や故障を未然に防止。そして何より必要不可欠とされているのが、日々の点検や検査、緊急時などにおいて迅速に対応する“人の力”だ。

池田 誠純さん

フジテック株式会社
西カスタマー技術部 茨木サービスセンター

入社7年目の池田 誠純さんは、大阪府に拠点を置く茨木サービスセンターに勤務する保守のエキスパート。2013年より本格導入されたe-テレマを搭載した社用車を使用し、エリア内の各施設に設置されたエレベーターやエスカレーターの保守を担っている。

「定期点検や定期検査、故障や緊急時対応などを行う『保守』は、従業員が直接現場へ向かい作業にあたります。基本的には1日に5〜6カ所を巡回します。その際の移動手段となっているのが、e-テレマが搭載されたサービスカーです。
茨木には各現場へのアクセスが良い国道171号線があり、普段から頻繁に利用しています。ただし、交通量が多いことから時間帯によっては渋滞が発生するため、e-テレマが導入されるまでは焦って現場に向かうことが多々ありました。その当時は、自分が急発進や急加速をしているという意識すらなかった状態でした。

しかし、e-テレマが導入されてからは、急な加減速やスピード超過があれば瞬時に管理者へ通知され、結果の報告を受けることになります。このような機会を得たことで、自分の運転を再認識しましたし、運転に対する意識にも変化が生まれました。作業中はもちろん、作業へ向かう運転も仕事の一部ですので、一連の流れ全てにおいて安全第一を考えるようになりました」

写真:筒井 邦彦さん

筒井 邦彦さん

フジテック株式会社
安全統括本部長 執行役員

エレベーターもエスカレーターも
車でも、徹底した“安全・安心”
を維持しなければいけない

「我々が取り扱う空間移動システムは、たくさんの人達が利用するものですから、安心してご利用いただけることを第一に考えなければなりません。それを実現するためには、製品そのものの安全性はもちろん、製品・サービスに携わる従業員の安全も確保しなければなりません。高品質な製品・サービスの提供による社会貢献だけでなく、車両事故を含む労働災害をなくすことも企業が果たすべき重要な役割です。

フジテックでは、製品の納入から緊急時の対応まで、あらゆる業務で社用車を使用するため、ほぼ毎日社用車が稼働していますが、中でも保守を行うサービスカーの稼働率が最も高くなります。エレベーターやエスカレーターの安全を担う保守スタッフが安心して仕事に臨めるよう、2013年からe-テレマを本格導入しました。当初は60台からのスタートでしたが、徐々に台数を増やしていき、現在は600台を超える全ての社用車に搭載しています。

危険挙動数の変化(1カ月につき) 約200件(テレマティクス導入直後) → 1件(テレマティクス導入3年後)

実は、e-テレマ導入直後は、1カ月間に約200件の危険挙動が発生していました。しかし、導入から3年が経つ現在では1件という月もあり、速度超過と急加速に関してはほぼゼロです。このような成果を得られたのは、従業員が自らの運転特性を知ることで、安全運転に対する意識が強くなったからだと思います。また、データ分析から、危険挙動の発報件数と事故発生件数が比例していることが分かりました。つまり、e-テレマの結果を元に運転を改善していけば、事故を未然に阻止できる。このことを、社用車を使用している従業員が理解してくれたことが成果を挙げられた一番の要因です。今後の目標は、事故はもちろん危険挙動も0件にすること。エレベーターもエスカレーターも車も、人の命を預かるものですから、徹底した“安全・安心”を維持しなければ社会的責任を負うことはできません。今後も、事故を起こさない取り組みを続け、確かな信頼のおける製品・サービスを提供していきたいと考えております。」

フジテックでは、通常の運行管理以外にも安全運転にまつわる独自の取り組みを実施しているという。例えば、e-テレマでは加速度が0.3G※を示すと管理者宛に発報されるように設定されているが、フジテックの大阪エリアでは、それよりもさらに厳しい0.25Gを監視設定として定めているという。しかも、もし仮に発報があれば、運転していた従業員と一緒に管理者が運転経路をパトロールするというケアも行っている。まさに、安全・安心のプロフェッショナルならではの徹底した取り組みといえる。

※Gとは、加速度の大きさを示す単位で、数値が大きくなるにつれて急加速したことを表す。

仕事だけに限らず、プライベートでの運転でも、急加速や急減速をしないようになるなど、よい影響が生まれています。

「フジテックではe-テレマ以外にも、安全運転に対する試みを行っています。そのひとつが、一時停止や左右確認などを言葉で発しながら運転に集中するコメンタリードライブで、そういった取り組みが今では当たり前になっています。仕事だけに限らずプライベートでの運転でも、以前より急加速や急減速をしないようになるなど、よい影響が生まれています。そういった意味では、“いつも通りの運転”を心掛けることが、自然と安全運転につながるのではないかと考えています。

これは私自身の職業病かもしれませんが、休日でもエレベーターやエスカレーターを見ると、何か不具合がないか? 誰か困っていないか? と気になってしまいます。また、マンションなどへ作業に伺うと、住人の方から「いつも、ありがとう」と声を掛けられることがあります。そんな風に、自分の仕事が誰かのために役に立っていると感じられる場面に出会うことが仕事のやりがいとなっています。

そのような思いもあり、作業中はお客さまに当社製品をご利用いただけないため、以前までは『とにかく急がなければ』という思いで仕事に取り組んでいた部分もありました。しかし、その焦りが事故につながるので、今はどんな作業でも始める前にひと呼吸おいてから臨むようにしています。これからも、お客さまから小さな不満も出ない製品・サービスを提供できるよう努めたいと思っています。」

安全・安心を担う役割から、さらなる価値の提供へ

写真:竹村 成史さん

竹村 成史

オリックス自動車株式会社
リスクコンサルティング部 部長
上級コンサルタント

「e-テレマを提供し始めたのには、1999年に横浜市などとオリックスが共同でカーシェアリングの実証実験を始め、遠隔で車の状況を把握できる仕組みを構築し、その仕組みを車の点検や修理などにも活用できないかと模索していた背景があります。その一方で、オリックス自動車のリスクマネジメント室(当時)が、法人向けに運転講習会やドライバー管理に関するマネジメントなどのコンサルタント事業を行っていたのですが、実際に各々のドライバーが安全運転しているかは不透明な状態でした。このような過去の経験やリスクマネジメントの観点からシステムを応用し、ドライバーの運転状況を可視化するシステムとして生まれたのが、e-テレマだったのです。

これまでに、コンプライアンス、事故軽減など、さまざまな効果・評価を得てきましたが、急加速・急発進を防ぐこととスピードの制御が燃費向上につながり、CO2削減など環境保全の面でもより一層の注目を集めています。そして、2017年2月1日から高齢ドライバーを持つご家族さまに向けたサービス「あんしん運転 Ever Drive」を開始しました。年々、高齢者の自動車運転事故が増加傾向にあり、自分の親が被害者にも加害者にもなり得る状況で、免許返納を促す動きも生まれています。しかし、高齢者の中には、移動手段として車が必要な方に加え、運転することが楽しみで、生きがいと感じる方がいらっしゃるのも事実です。本サービスは、そのジレンマを解消するのと同時に、テレマティクスサービスの新たな活用法になると考えています」