PROJECT:07

年間3800万人が利用する空港を、民間の力で運営する。前例ゼロの案件を支えた、諦めない姿勢。

松浦 玄 / HIROSHI MATSUURA

コンセッション事業推進部
コンセッション事業推進チーム 課長
2005年6月入社/前職:大手銀行

※掲載内容は取材当時のものです

KEYWORD
  • #コンセッション
  • #大規模プロジェクト
  • #オリックス初
  • #事業創出

PROFILE

松浦 玄

大手銀行にて法人融資などを経験した後、アセット・ファイナンスなどのプロジェクトに携わりたいと考え、2005年にオリックスに転職。8年にわたり不動産ファイナンスを手掛けた後、空港コンセッション事業のプロジェクトメンバーに抜擢。関西国際空港・大阪国際空港コンセッション事業に可能性を感じ、準備に4年の歳月をかけ、一大プロジェクトの一連のプロセスに従事。

法改正をきっかけに動き出した、日本初のコンセッション事業。

2016年4月1日、オリックスは国内初の民間企業による空港運営事業となる関西国際空港・大阪国際空港コンセッション事業をスタートさせました。関西・大阪(伊丹)の両空港は文字通り“関西、日本におけるゲートウェイ”です。この重要な社会インフラを、旧運営会社(国出資)から運営権を譲り受けて、民間の運営ノウハウによって活性化していくことこそが、コンセッション事業のミッションです。

私がこのプロジェクトに参加したのは、今から4年ほど前のことでした。当時、私が所属していた不動産部門では、“アフターファイブプロジェクト”と題して有志のメンバーが集い、複数のチームに分かれて新規事業を企画・検討する分科会を行っていました。中でも私の参加していたチームが着目したのが、2011年のPFI法改正によるコンセッション方式の導入でした。

1999年に制定されたPFI法は、公共事業や公共施設の建設、維持管理、運営などを民間企業に委ね、民間企業の経営ノウハウ、技術ノウハウを活用するための法律ですが、2011年の法改正で「公共施設等運営権」(いわゆるコンセッション方式)が創設され、より自由度・柔軟性の高い制度となりました(同時期に関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律が公布)。

国または地方自治体などにより民営化が決定された案件は、事業ごとの入札によって運営会社が選定されます。当初は地方空港をはじめ、いくつかの公共インフラへのコンセッション導入が予定されていましたが、その中でも大きな可能性を感じた事業が、現在年間旅客数3800万人以上を数える「関西・大阪(伊丹)空港」のプロジェクトでした。私たちのチームは、徹底的なリサーチを重ね事業計画を検討していきました。そして2014年秋、関西・大阪(伊丹)空港の公募プロセスに関する具体的な発表を受け、私を含めた空港コンセッション事業のプロジェクトチームは本格的に動き出したのです。

事業リスク、長期運営、ビジネスの複雑さ。立ちはだかる圧倒的な壁。

今でこそ社会的な注目度も高いコンセッション事業ですが、当時は、国内大手企業を中心に興味を示す企業こそあったものの、前例のない取り組みであることとその規模の大きさから、各社手探りの状況でした。オリックスでも初めから参入を決めていたわけではありません。そのような中でも、私を含めたチームメンバーは非常に高いモチベーションでプロジェクトに臨んでいました。まず着手したのは、航空関連事業に関わるオリックス社員、エアライン各社や空港関係者へのヒアリングでした。そこで見えてきたのは、空港運営がもたらす大きなメリットと多角的な事業が複雑に絡み合う難しさでした。

一口に空港運営と言っても、航空系事業といわれるエアライン営業、路線拡充、航空貨物取り扱いの拡大、滑走路などの効率的運用・維持管理や、非航空系事業といわれるターミナルビル事業(飲食、物販、駐車場、ホテル、二次交通サービス、その他旅客関連サービス)など幅広いビジネスが関わっており、民間事業者はそれらを一体的に運営することが求められます。また、安全・安心な環境整備に向けたセキュリティ品質の向上と地域社会との共生は、社会インフラという意味で、最も重要視しなければならないファクターでした。入札にあたってはこれら全ての事業の詳細な検証を行いましたが、そのプロセスは従来型のPFI事業の検討過程とは全く違う、ハイブリッド型のM&Aや事業承継に近いものでした。また、ルールとして海外で実績を有す空港オペレータとコンソーシアムを組む必要があったことがプロジェクトの難易度を高めていたと思います。

立ちはだかる壁は続々と押し寄せましたが、関西発祥の企業であり、多角的なビジネス領域の開拓者として豊富なノウハウを蓄積してきたオリックスだからこそ、このコンセッション事業で力を発揮することができるはずだと考えました。そして、私たちプロジェクトチームは一つ一つ障壁を乗り越え、経営陣への提案にまでこぎつけました。しかし、そこからも実現に至るまでには数えきれないほどの紆余曲折が私たちを待っていました。このプロジェクトでの最大の壁となったのは、総額で兆円単位となる運営権対価と、数十年にわたる超長期の運営が入札条件とされたことです。

これまでのオリックスのビジネスモデルでも前例のない大型で超長期の取り組みに対する社内の議論は、白熱しました。それでもプロジェクトメンバー全員が最後まで諦めず、経営陣とも議論を尽くし、事業開始を実現させたのです。

オリックスの転換点を生んだ、ポテンシャルを信じ抜く現場の力。

最終的に関西・大阪(伊丹)コンセッション事業は「運営期間40年超」、「運営権対価は総額数兆円単位」という前例の無い一大ビジネスとなりました。社内でも賛否両論があった中、それでも最終的に入札にまでこぎ着けたのには、大きく3つの理由があったと思います。

1つは、これからのオリックスの成長方針として、金融ビジネスだけに縛られることなく、社会的意義の高い事業、中・長期的なサービスやオペレーション事業もこれまで以上に伸ばしていこうという経営判断がなされたことです。

2つ目は、グループの枠を超えて人材を結集し、各分野における専門性の高いメンバーが一丸となってプロジェクトに取り組むことができたことです。これはオリックスの特長だと思います。

そして3つ目は、社員一人一人に根付く「最後まであきらめない」というオリックスの企業文化がそうさせたのだと思っています。

私自身、オリックスでのキャリアの中で一番体感してきたのが、何事においても“できない理由”ではなく、“できる方法”を追求し続ける姿勢でした。社内で議論が紛糾した時も私たちプロジェクトメンバーは可能性を信じ、「全員でやれることをやっていこう」と業務を進めました。

例えば、空港をともに運営するパートナー探しについてもそうです。世界中の空港運営会社をリサーチし、打ち合わせを重ねました。その中で、オリックスにも近いフレキシブルなビジネス展開で世界トップクラスへと成長したフランスのヴァンシ・エアポートと信頼を深め、パートナーシップを築くことができました。さらに、関西を中心とした企業30社の協力も得られ、今後のコンセッション事業の礎を築き、関西全体を盛り上げていこうという機運も高めることができました。

思い返せば、2012年の準備段階からプロジェクトのスタートまで4年間という長い期間がかかりました。始めは数名だったチームのメンバーも、最終的には50名以上の大所帯になっていました。「これ以上の規模のプロジェクトは、人生でもう無いかもしれない」と日々感じながら仕事を進めてきましたから、無事に事業開始を迎えられた日の喜びは、本当に言葉にできないものでしたし、社内外でこのプロジェクトのために一緒に汗を流してくれた多くの方々に対して、感謝の気持ちが込み上げました。

コンセッション事業の発展を通していつか地元に貢献したい。

オリックスとフランスのヴァンシ・エアポートと関西の企業を中心としたパートナー会社による新会社「関西エアポート株式会社」が新設され、関空と伊丹の運営が始まり、早数カ月がたちます。私は東京と関西を行き来しながら、現在ブランディングやWEBサイトのリニューアルをはじめ、さまざまな面で運営のサポートを行っています。さらに、今回の経験とノウハウを生かし、新たなコンセッション事業の入札に向けた準備も進めています。

日本におけるコンセッション事業は、今始まったばかりです。コンセッション事業の成功は、日本を支える社会インフラの正常な整備につながる試金石だと私は考えています。空港だけでなく、有料道路や上下水道、その他の公共施設など、国や自治体に代わって民間企業が運営できる事業に参入することで、サービスや安全の品質を高め、収益を改善することができる分野はまだ多く残されていると思います。関西・大阪(伊丹)コンセッション事業が成功すれば、そうした他分野へも民間企業の参入が進んでいくと予想されます。こうした意味でもオリックスは総力を挙げてこの事業に投資を続けていきたいと思います。

もう一つ、私には個人的な目標があります。それは、いつかコンセッション事業を通して地元・東北の地域活性化に貢献することです。2011年の東日本大震災の際、被災した地元を目の当たりにして、今後のインフラ整備に民間企業の力を生かせないかと強く考えるようになりました。諦めることなく、東北地方のさらなる活性化の可能性を模索して、いつか実現したいと思います。

WHY ORIX? ~転職してオリックスを選んだ理由~

入社年次に関係なく、若手が挑戦できる環境を求めて。

新卒入社から3年間、銀行で法人向け融資業務を経験し、金融ビジネスの基礎を身に付けました。その中で「経験を生かしてプロジェクトファイナンスに挑戦したい」という意欲が湧いてきました。しかし、当時、私のいた銀行ではプロジェクトファイナンスを手掛けるのは中堅以上の社員で、20代前半の私は「5年早い」という状況でした。そこで、若手の挑戦を応援していて、フレキシブルな活躍が目指せる環境を模索し、出会ったのがオリックスです。当時オリックスはノンリコースローンの先駆者として、不動産ファイナンス業界で注目を集めていました。ここでならばルーティンワークではなく、常に新しい挑戦をし続けていけるのではないかと考え、転職を決めたのです。実際、入社後最初の配属となったプロジェクトファイナンス部では早い段階から責任ある業務を担当させていただき、マーケットと苦楽を共にしながら成長できました。その経験は、現在のコンセッション事業推進部でも大いに役立っています。

ONE DAY SCHDULE

  • 8:30 出社 メールチェック、メール対応
  • 9:00 チームメンバーと前日議論したことを軽く振り返り
  • 10:00 浜松町から羽田空港へ移動
  • 11:00 空港ラウンジで資料作成・チェック
  • 12:00 関西空港へ向けてテイクオフ
  • 13:30 関西空港へ到着 ターミナルの各フロアを回り旅客動線やテナント混雑具合、各種サービスの利用状況などを確認
  • 14:00 関西エアポートのタスクフォースメンバーとミーティング
  • 15:00 関西エアポート、ブランディング・パートナー会社の方々と定例ビデオカンファレンスにむけた事前ミーティング
  • 16:30 関西空港⇔パリ間で定例ビデオカンファレンス
  • 18:00 次回の定例ビデオカンファレンスにむけたTo Doの確認
  • 19:30 関西空港から羽田空港へ向けてテイクオフ。この日はこのまま帰宅。

CAREER PATH

  • 2002年 大手銀行に入行。 法人融資などを担当
  • 2005年6月 オリックスに入社。不動産事業本部にてノンリコースローンの不動産ファイナンスのオリジネート、回収、オフィスビル開発などに従事
  • 2013年11月 空港コンセッション検討の専属メンバーに異動。現在に至る

FUTURE

関西・伊丹空港の活性化をサポートしつつ、新たなコンセッション事業のプロジェクトを継続的に手掛ける。そして将来的に、コンセッション事業を通して地元・東北地方に貢献したい。

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